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失敗しない!土地探しのコツとポイント-7

January 23, 2018

・地震に強い土地の選び方-1
私たちの暮らす日本は、北は北海道から南は沖縄まで複数のプレートが複雑に力を与え合っているため、世界有数の地震国となっています。その数、1年間に地球上で発生するM5以上の規模の地震のうち、日本およびその周辺では10%を占めるほど。
そのためビルや家を建てる際の基準となる建築基準法などは、大きな地震が発生するたびにその規定が見直され、地震に強い建物をつくってきました。
ところが、2016年4月に発生した熊本地震においては、比較的築年数の新しい建物でありながらも大きな被害が発生した地域があったのです。


・建物の被害が集中した地域とは?
新聞やテレビなどの報道で目にした方も多いと思いますが、被害が集中した地域は「斜面」「低地」「埋立地(旧河川)」。次にひとつづつ解説します。

・斜面
一見して同じような傾斜地に建っている家でも、被害には差がありました。被害が小さいのは「切土(きりど・きりつち)」にて平坦にされた土地で、逆に大きな被害があったのは「盛土(もりど・もりつち)」にて造成された土地。
広い敷地がある別荘地などでは、なるべく自然の状態を活かしたまま建物を建てることが良しとされていますが、市街地の山林を切り開いて住宅地を造成する際には、なるべく「普通の土地」に見えるように、斜面を削る(切土)か土を盛って(盛土)平坦にされます。
盛土の際にも締め固めながらかさを上げていくのですが、地山(じやま:掘り返されていない自然の地盤)を削った切土部分に比べて緩いものになります。ならば全て切土にて造成すればよいようなものですが、作業量と処分する土の費用がかさむため、切土面と盛土面をバランスよく計画して、切土にて発生した土でかさ上げをしつつ建設コストを抑えるような方法がとられます。

・低地
地質学的には、現代から約2万年前の最終氷河期後期以降に堆積した地層を「沖積層」、それ以前に形成されていた地層は「洪積層」と呼ばれています。
「沖積層」は、氷河期が終わりを告げて氷河や河川が大地を削り、海面が上昇したときに河川の下流に土砂が堆積してできた層です。

現在よりも5m程度海面が高かった縄文時代をピークにその後は海面が下がり、現在ではかつて海底であった土地の一部が地表面に現れています。また海から遠く離れていても、谷の下側、川や沼の近くなども、高台から流れてきた土砂が堆積した軟弱な地盤であることがあり、よく締まった砂礫や粘土を主とする「洪積層」に比べて軟弱です。

・埋立地(旧河川)
今も存在する河川であれば、軟弱な地盤と思われるところは容易に想像がつきますが、かつて川だった土地が埋めたてられた場所もあるため注意が必要です。そこで役に立つのが古地図。
地域の図書館や郷土資料館に所蔵されている場合もありますし、場所によってはWEBやアプリで公開されているところもあります。

多くの方が知るところかと思いますが、町名に水に関する文字(沼、沢、池、谷、田など)が含まれているところも、かつて軟弱だったと思われる場所で、それらも古地図にて確認できるでしょう。

・周辺地域を含む地形や地質を知るには?
土地の地形や地質を知ることに役に立つWEBで公開されている情報を3つ紹介しましょう。
□デジタル標高地形図
国土地理院が公開する各地の標高を記録した「デジタル標高地形図」。
高低差が視覚的に色づけされているため、直感的に地形を把握することができます。
http://www.gsi.go.jp/kankyochiri/Laser_map.html

□今昔マップ on the web
埼玉大学教育学部社会講座人文地理学の谷謙二研究室が公開する古地図。
現在と過去(明治時代後半)を並べて見比べられる地図で、両地図に示されるマウスのポインターが同期されるため、非常にわかりやすくなっています。
http://ktgis.net/kjmapw/

□日本シームレス地質図
産業技術総合研究所地質調査総合センターが公開する「日本シームレス地質図」。
地表付近の地層を、種類や形成された年代などにより色分けされたもので、ピンポイントでその土地の情報が得られます。
https://gbank.gsj.jp/seamless/seamless2015/2d/
例えば、私たちの事務所が位置する東京都港区南麻布2丁目を見てみましょう。(画像出展:日本シームレス地質図)

マウスで当該地付近を選択すると、「後期更新世(Q3)の中位段丘堆積物/川沿いのやや高い所に分布している約15万年前~7万年前に形成された段丘層」と「後期更新世-完新世(H)の海成または非海成堆積岩類/約1万8000年前~現在までに形成された最も新しい時代の地層」の境目にあります。
縄文時代は事務所の目の前を通る麻布通りのあたりまで海だったようで、少し南に行くと古川橋交差点から西に伸びる明治通りに沿って「最も新しい時代の地層」が続きます。丁度、古川(渋谷区内では渋谷川)の流域に低地が続き、そこに道路が整備されたことがうかがい知れます。

・地震の起こりやすさを知るには?
□地震ハザードステーション
国立研究開発法人 防災科学技術研究所が公開する地震の発生確率などを表した地図を閲覧できます。
http://www.j-shis.bosai.go.jp/map/
「30年以内に震度6強以上の揺れに見舞われる確率の分布図」や「活断層の位置」などの情報が得られます。ちなみに23区内は全域が「30年以内に震度6強以上の揺れに見舞われる確率:26~100%」となっています。

・地震が起きた際の揺れやすさを知るには?
上記の「地震ハザードステーション」の「表層地盤増幅率」から、その土地が地震に見舞われたときの揺れやすさを確認できますが、同じデータを利用している朝日新聞のサービスの方が、地形の種類も表示されるためにより理解しやすいものとなっています。
http://www.asahi.com/special/saigai_jiban/

・液状化の起こりやすさを知るには?
国土交通省の「わがまちハザードマップ」にて、各自治体が公表している液状化予測マップへのリンク(他にも震度被害マップなどへのリンクもあり)がまとめられてますが、残念ながらリンク切れとなっている自治体も多々あります。
https://disaportal.gsi.go.jp/hazardmap/bousailist/tablelist.html?hazardcode=3
東京の場合は、下記のリンク先より液状化予測図を確認することが可能です。
http://doboku.metro.tokyo.jp/start/03-jyouhou/ekijyouka/lhmap1.aspx

公的な機関以外にも、民間の地盤調査会社でも情報を開示しているところがありますので、
次回「地震に強い土地の選び方-2」でご紹介しましょう。

 

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