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失敗しない!土地探しのコツとポイント-15

March 12, 2018

 

 

 

地震に強い土地の選び方-9(写真:私たちの事務所の所在地も旧地名は「麻布新堀町」と水に関係がある)

 

・現地に行って調べられる地盤調査資料とは?

紙やデータ状の資料が得られるわけではありませんが、実際に候補と考えている土地に足を運ぶことも非常に参考になります。

例えば、私たちが敷地を調査する際に地盤の良し悪しを判断する参考にすることとしては、

□候補地とその周辺の高低差

□地表面の状況

□近隣の家や塀・擁壁などの構築物

□川や暗渠(あんきょ:地下にあって外部からは見えない水路)、廃河川の有無

□公園や会社の名前

など。

 

・高低差や地表面の状況からわかることは?

「候補地とその周辺の高低差」からは、何がわかるのでしょうか。

例えば候補地が傾斜地にあり、かつ同じ位の標高の周辺の土地に比べて谷状になっている場合、その土地は土中に浸透した雨水の通り道になっているかもしれません。

「地表面の状況」を見てみて、湿ってコケ類が生えていたり、晴れていてもジメジメしてぬかるんだ感じになっていれば、その可能性は高いでしょう。

 

・近隣の家や塀・擁壁などからわかることは?

石積みやコンクリートブロックの土留めなど、規模によっては現在の法令では認められていない場合もありますが、法整備がされる前に構築されたものはまだ数多く残っています。

それらが土圧を受けた時に、崩壊せずとも表面が押し出されるように膨らんだり、また地盤が沈下した場合には、変形に追従できずにヒビが入ります。あるいは古い家屋の手入れがあまりされていないモルタルの外壁にも、窓周りや建物端部などに斜めにヒビが入っているのを目にすることがあると思います。

これらは元々の設計や施工上の問題や、経年劣化によるものの可能性もありますが、地盤自体が緩んで沈下していることで建物が変形して堅いモルタルが割れているのかもしれません。

 

・川や暗渠、廃河川の有無からわかることは?

川がある、あるいは過去にあったということは、その土地が周辺地盤よりも低く、自然と水が集まる場所であることがわかります。もちろん、今現在もその川が残っているのであれば一目瞭然なのですが、暗渠になっていたり廃河川の場合は地図からではなかなかわかりません。

でも、実際にその土地を歩いてみると、奇妙なカーブで蛇行を続ける小道があったり、古い家屋が一様にその小道に背を向けるようにして建っていることがあったりします。そのような場所は、過去に川が流れていたところを暗渠にしたり、埋めて道にしている可能性があります。

もし、そこが過去に川だったとすれば、その流域は何万年もの間に蛇行して現在の位置とは離れた場所に流れていたかもしれません。当然、人工的な川ではありませんから、はっきりとした境界があるのではなく、湿地帯がその流域を覆っていたと想像されます。そしてヨシなどの植物が生い茂っていたかもしれません。地盤的には、その植物が腐食して分解され土になったものを「腐植土」と呼び、軟弱な地盤の代表的なものとされています。また、腐植土は柱状改良工事に使用されるセメント系固化材との相性が悪く、硬化を阻害する恐れがあります。そのため腐植土層が出る土地では、小口径鋼管杭などのやや高価な地盤改良対策を施さなくてはいけない場合もあります。

 

・公園や会社の名前からわかることは?

地名が地盤の良し悪しを推しはかるヒントになることは広く知られていますが、やっかいなのは昭和37年に施行された「住居表示に関する法律」にて、古い地名が整理されて新しい呼び名で町域を変えてしまったこと。

例えば私たちの事務所が位置する南麻布も、かつては麻布東町、麻布竹谷町、麻布本村町、麻布新堀町、麻布富士見町、麻布盛岡町、麻布広尾町、麻布新広尾町と呼ばれた地域を一緒くたにしてまとめられたもので、事務所のあるあたりは「麻布新堀町」でした。新堀とは今も残る古川の旧名ですので、水に関わりがある地名であることがわかりますが、現在の呼称である南麻布だけではそれも伝わってきません。かろうじて地域の公園である「南麻布新堀児童遊園」といった公共施設や、地元企業あるいは町会の名称に残るのみですから、これも現地に足を運ぶことで得られる情報の一つと言ってよいでしょう。

 

・工事中の土地があればチャンス!

このように、実際に候補地に足を運ぶと、地中も含め敷地に水がどのように入って抜けているかを周辺の地形などから推察したり、地盤が緩んだことで塀などが沈下しあるいはひびが入っていないか、といったことを確認することができます。

時には工事中の現場もあるので、タイミングよく基礎工事をやっていれば非常にラッキーです。実際に土中がどうなっているか目視で確認できるのですからこれ以上に確かなことはありません。
事前に調べた情報で、おおよそどのような地盤の土地なのか想像はつきますが、やはり百聞は一見にしかず。そのため、私も仕事とは関係ない場面、例えば家族と遊びに出かけたときなどでも、基礎工事をやっているところを見かけると、ついつい興味本位で見学して、その場所を掘るとどんな地盤が出てくるのかということを確認してしまいます。

次回は「地震に強い土地の選び方-10」にて、実際に掘削された地盤の写真をご紹介しましょう。

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