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失敗しない!土地探しのコツとポイント-16


地震に強い土地の選び方-10

地震に強い土地の選び方-10

前回までの記事にて、主にウェブや役所などで入手できる地盤の良し悪しを類推するための資料についてのご紹介や、土地に赴いて得られる情報などをお話ししてきました。今回は実際の地盤の写真を見ながら、より具体的な事例をご紹介しましょう。

・東京における良い地盤の代表例

上の写真をご覧ください。これは私たちの事務所近くで見た造成工事の様子です。全般的に赤みを帯びた茶褐色をしていますね。もう少し詳細に見てみると、一番上に30cmほどの茶褐色の層があり、その下に少し色が薄い10cmくらいの層、さらに厚さ50cmくらいの黒っぽい層と続き、それ以降はやや薄い茶褐色や赤っぽい層が重なっています。

間近まで行って触ってみるとよりハッキリとわかるのですが、道路からみた感じからすると一番上の30cmほどの茶褐色の層は、表土の中でも近年掘り返されたり埋め戻されたりした層でしょう。その下の少し色が薄い10cmくらいの層は、やや砂が混じったシルト(粘土と砂の中間くらいの粒の土)のように見えます。厚さ50cmくらいの黒っぽい層は、俗に黒ボクと呼ばれる土です。ところどころに植物の根と思われるものが見えていますね。植物が分解されて出来た肥沃な層で、保水性と排水性も丁度良く、また耕しやすい固さであるため農耕に適しています。でも地盤的には柔らかめなので、鉄筋コンクリート造などの重い建物が乗ると沈下する恐れがある層です。

その下からが「ローム」と呼ばれる層で、上の方はやや薄い褐色のところもありますので砂混じりのロームのようです。下の方は赤褐色のきれいな色をしていますので、純然たるロームでしょう。

・ロームとは? 関東においては、西の富士山や箱根山、北の赤城山や浅間山などが噴火した際に降下した火山灰が堆積して出来た層で、一般に「関東ローム層」という名で知られる良い地盤の代表的なものです。古くから良い地盤として知られる層ですので、現場の職人さんたちは「赤土」や単に「アカ」などと呼んだりしています。

建築基準法施行令第93条においても、ロームは長期的に1平方メートル当たり50kNの荷重に耐えられる(1平方メートルあたり約5トンの力に耐えられる)として計算してよいとされており、鉄筋コンクリート造の建物であっても通常は3階くらいなら問題なく建てられますし、土質試験の結果次第では5,6階建てでも杭を打たずに建てられる可能性があります。

※基礎や地盤補強に関わる判断は、専門家の判断に従ってください。

次回「地震に強い土地の選び方-11」は、この写真と近くの地盤調査資料と見比べてみます。

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