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失敗しない!土地探しのコツとポイント-10


失敗しない!土地探しのコツとポイント-10

地震に強い土地の選び方-4 (写真:首都圏において非常に良好な地盤であるローム層)

・緩い地盤に安心して建物を建てるには? 建設されるビルや家の荷重に対して地盤が軟弱である場合、設計時にその対策を計画します。 杭もその一つの方法で、柱状の構造体(主にコンクリートや鉄骨)を安定した固い地盤まで打ち込むなどして建物を支持させるもので、古くは松の木を使用していました。木材を地盤面下に埋めるなど、いかにも腐りそうな感じがしますよね。でも旧丸ノ内ビルヂングの建替え時には、大正9年の建設時に打ち込まれた松杭が非常に状態の良いまま機能していることが確認され、常時水面下にある松杭が、長期間にわたり腐食もせず巨大なビルを支えてきたことに、半ば驚きをもって報道されたものです。 古くからそのような工夫をして安全な建物を建てて来た訳ですが、杭自体は完成してしまえば目にすることがありません。安全のためとは言え、そこにお金を掛けるのは小さな建築などではコスト的に大きな負担となってしまいます。 ・住宅や小規模ビルなどを軟弱地盤に建てるには? まず検討したいのは「深基礎」。安定した地盤が1.5~数m程度にある場合には、基礎をその位置まで下げた「深い基礎」にて建物を支えることが有効です。杭は掛けたお金が構造的安定以外に寄与することはありませんが、深基礎を利用して地下室状の空間を作れば、構造的安定を得た上で地下室あるいは天井高さの低い床下収納のようなスペースを手にすることが出来ますので、防水や湿気対策に注意を払って設計すれば、費用対効果の大きい良い投資になります。でも、地下室など欲しくないから費用を抑えつつ軟弱地盤の対策をしたいという方もいらっしゃるでしょう。 その場合には「地盤改良(あるいは地盤補強)」と呼ばれる地業工事を計画します。 地質や時代に応じてさまざまな工法が採用されてきましたが、現代では小規模建築物には次の3つが主に採用されています。 1.表層改良(浅層混合処理工法) 2.柱状改良 3.小口径鋼管杭(杭状地盤補強) ・表層改良とは? 地盤面下0.5~2m程度までの比較的浅いところに良好な地盤がある場合に採用される工法で、重機で地面を面的に掘削し、掘り出された土に固化材(石灰系・セメント系)を混ぜて締め固めながら埋め戻す工法です。 深さ1m未満に安定地盤があれば比較的安価な改良方法ですが、それ以上の場合はもう少しお金を掛けてでも、前述したように基礎全体を下げて床下収納として積極的に活用し、生活利便性を向上させることを提案する場合もあります。 ・柱状改良とは? 先端から固化材(セメントなど)を出しながら大きなドリルで土を堀り進め、現場の土と固化材を混ぜて杭状の改良体(固化された杭状の土)を形成し、それにより基礎を支える工法です。良好な地盤が6,7m程度までにある場合に採用されることが多く、また検討次第では摩擦力を考慮して中間層(強固な支持層ではないがあるていどの支持力がある層)に支持させることもできるため、広く採用されています。 近年では固化材を用いずに、円柱状に掘削した穴に砕石を埋め戻す工法なども出てきてます。 ・小口径鋼管杭(杭状地盤補強)とは? 101.6mmから165.2mmの鋼管を杭のように土中に打ち込む工法です。厳密には鋼管杭は国の告示にて細かな規定があり、小口径鋼管杭は肉厚等がその基準に満たないものもあるため、その場合は「杭」ではなく「地業としての地盤の補強」という扱いになります。

土地探しの段階では、具体的な対策の方法まで知る必要はありませんが、費用がどのくらいかかるか見当をつけておかないと、土地の取得から建物の設計および建設費用に掛かる「総事業費」が大きく上振れしてしまう可能性があります。 次回「地震に強い土地の選び方-5」で、地盤改良の実例とその金額の目安をご紹介します。

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