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​蒲田本町の集合住宅

用途
竣工
所在地
​構造設計

施工

共同住宅
2020年5月
東京都大田区
下久保亘/オンスタジオ
構造設計事務所
大三工事株式会社

二つの緩和と二つの石

環状八号線と第一京浜および京浜急行が交差する交通の要衝に建つ投資用マンションです。

1項5号道路と1項1号道路と2項道路が交わる三叉路に面する敷地は、一見すると都市計画条件的に大きな建物は建てにくいように見える土地ですが、1項1号道路と2項道路の交点にて両道路の指定が重なり合っていたために「特定道路に近接することによる容積率の緩和」の適用が可能な土地でした。また、道路を挟んで京急線の高架に面するため「道路反対側に線路敷があることによる高さ制限(道路斜線)の緩和」も合わせて適用することにより、路地に面していながらも意外な大きさのボリュームを確保しています。

 

地形的には多摩川の河口付近であるため旧河道も多くみられ、中層の鉄筋コンクリート造建物の支持層となる礫層も地盤面下35m程度と非常に深いエリアですので、地上に見える高さ22mの建物自体より1.6倍強も長い36mの杭で支えています。

杭の施工中に丁度支持層となる辺りでさらわれた砂利の中から拾ったグレーがかった深い緑色をした石。東京層下部の礫層は12~13万年前の海進時に形成されたとのことですので、同時期に堆積した砂利でも、長い時を経て地上で日を浴びた石もあれば、今も地中深くでこの建物の荷重を支えている石もあるのだと思うと少し不思議な感じがします。

当該エリアは都内で唯一「国家戦略特別区域法に基づく旅館業法の特例 」が認められている大田区内にあるため、近年増加の一途をたどるインバウンド需要を意識して特区民泊としての運用やホテル・旅館への用途変更も視野に入れた仕様とし、将来的な施設運用変更の可能性を高めています。

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